12月03日 ザイフェン(Seiffen)訪問

■日独交流セミナーに参加して

 第1章 序論
 第2章 本論
   第1節 交流のコツ
   第2節 ドイツの現状
   第3節 ドイツYHの現状
   第4節 セミナーについて
     11月26日オリエンテーション
     11月26日ビーネフェルトYH
     11月27日第1回セミナー1
     11月27日第1回セミナー2
     11月27日第2回セミナー1
     11月27日第2回セミナー2
     11月27日ヒルデさん宅訪問
     11月28日ビーネフェルトYH見学
     11月28日第3回セミナー
     11月28日第4回セミナー
     11月28日ドーン氏挨拶
     11月28日デットモルド市長
     11月29日ドレスデンYH到着
     11月30日第5回セミナー
     11月30日日独討論会
     11月30日バロック宝庫訪問
     11月30日第6回セミナー
     11月30日ドレスデンYHの見学
     11月30日ドレスデンの歴史ツアー
     12月01日バウツェンを訪問
     12月01日YHにて昼食
     12月01日ゼンパーオペラ訪問
     ドイツにおけるガイドの問題点
     12月02日フラウエンシュタインYH
     12月02日ザイダYHへ
     12月03日ザイフェン(Seiffen)訪問
     12月03日グトゥルン・シルマン

 第3章 結論

12月03日(日)9:30ザイフェン(Seiffen)訪問

 この日は、最後のプログラムとして、ザイフェン(Seiffen)の訪問がありました。ザイフェンは、木工民芸品で有名な地方で、特におもちゃは、有名です。

 ザイフェンのあるエルツ地方は、古くから鉱物採掘の中心地として発達してきました。しかし、資源が枯渇すると坑夫たちは他の仕事で生計を立てなくてはならなくなります。そこで考え出されたのが、森に豊富にある木を利用しての手工業でした。

 ただ、ザイフェンの手工業が他と変わっているのは、「光」をモチーフにした作品が多いことです。理由は、光りのないところで働く坑夫たちが、潜在意識の中で光を求めていたために木工作品に「光」を取り入れるようになったためと言われています。ちなみに、このザイフェンの木工作品は、旧東ドイツ時代には重要な輸出産業として生産されたそうです。

 実は、2ユーロ(300円)を支払うと、この小さな製作現場を見ることができます。最初は「たかだか製作現場を見るのに金をはらうのかよ」と引きました。日本人の多くは、いや世界中の観光客の多くは、そのように考えるでしょう。ただ、今回は日独青少年指導者交流事業で来ているので、
「金さえ払えば、制作現場を自由に写真に撮れるのだな」
と言う頭があったので金を払って見学を行いました。それに彼らのプロヘッショナルな作業を一度見てみたかったのも確かでした。

 見学者は、私一人でした。

 おかげで自由に写真が撮れましたが、その工房で見た光景は、少しばかり違和感のあるものでした。正直言って、日本の伝統工芸をやる人より器用ではないなと思いました。
 というか日本の職人さんの技が凄すぎるのかもしれません。
 これはおそらく、日本の場合、徹底したエリート教育の結果、少数の巨匠になっていくのに対して、ザイフェンの場合、職業訓練校を通じて職人になっていくためかもしれません。
 なにしろザイフェンでは、村中の人たちが、職人をめざして職業訓練校に通うわけですから。但し、日本の場合は、伝統工芸品を作る職人さんたちの後継者問題が深刻だと聞いています。ザイフェンでは、そういう問題は無さそうで、職人さんの大半は若い人たちばかりでした。

 このザイフェンの例をみると職人国家ドイツが産む職人と、モラトリアム人間を多数生み出している日本の差について考えざるを得ませんでした。

 実は、私も映画製作の職人として、魚河岸市場の職人として、ガラス清掃の職人として働いたことがあります。若い頃は、佐渡島の伝統工芸品の職人になろうとしていましたから、職人には常に憧れをもって生きてきました。その体験からみて、ドイツにおける職人と日本における職人は、立場も考え方も背景もずいぶん違うなと思いました。
 行政が積極的に職人を育てるドイツ。
 多数のモラトリアム人間を多数生み出している日本。
 職人にとって厳しい条件を抱えているのは日本です。
 但し、それゆえに日本の職人さんたちは、雑草のごとく強い部分も持っています。

 この背景を知らずして、日本とドイツの教育問題を語ろうとするドイツ人がいて、見当違いの発言をする人がいることです。そういう場合は、言葉に不自由な私などは、つい黙ってしまいます。私たちは、議論よりも得たものを自分のために吸収する癖がどうしても強いですね。これがまた誤解の元になるような経験もしてきました。
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