12月01日 バウツェンの旧監獄見学

■日独交流セミナーに参加して

 第1章 序論
 第2章 本論
   第1節 交流のコツ
   第2節 ドイツの現状
   第3節 ドイツYHの現状
   第4節 セミナーについて
     11月26日オリエンテーション
     11月26日ビーネフェルトYH
     11月27日第1回セミナー1
     11月27日第1回セミナー2
     11月27日第2回セミナー1
     11月27日第2回セミナー2
     11月27日ヒルデさん宅訪問
     11月28日ビーネフェルトYH見学
     11月28日第3回セミナー
     11月28日第4回セミナー
     11月28日ドーン氏挨拶
     11月28日デットモルド市長
     11月29日ドレスデンYH到着
     11月30日第5回セミナー
     11月30日日独討論会
     11月30日バロック宝庫訪問
     11月30日第6回セミナー
     11月30日ドレスデンYHの見学
     11月30日ドレスデンの歴史ツアー
     12月01日バウツェンを訪問
     12月01日YHにて昼食
     12月01日ゼンパーオペラ訪問
     ドイツにおけるガイドの問題点
     12月02日フラウエンシュタインYH
     12月02日ザイダYHへ
     12月03日ザイフェン(Seiffen)訪問
     12月03日グトゥルン・シルマン

 第3章 結論

12月01日(金)バウツェンの旧監獄見学

 12月1日の最初のプログラムは、旧東ドイツ時代の旧監獄見学でした。この監獄は、ナチス時代にも使われていたのですが、ナチス時代の監獄として名高いのではなく、あくまでも旧東ドイツ時代の監獄として名高いのです。というのも、この監獄はアンダーグランドの世界のものとして存在していたからです。

 ナチス時代は、非常に恐ろしい時代でした。
 しかし、その恐ろしい時代であっても、
 逮捕令状はあったし裁判もありました。
 つまり書類が残っているのです。

 だから第二次大戦に元ナチスを探し出して裁判にかけることが可能でした。なんだかんだといってもナチスドイツは、官僚国家ですから命令には手続きが必要でした。そのために多くの命令が書類で残っています。しかし、バウツェンの監獄は、それとは異質なものとして存在しています。逆に言うと、バウツェンの監獄を見学することによって、人権とは何であるかを理解できるのです。

 この監獄は、手続きなしで収監された人たちが入っていました。誰の命令で、何の容疑で、どうして捕まったか分からないところが、この監獄の恐ろしさでもあります。当然のことながら裁判も令状も無いので収監された理由もわかりません。それより恐ろしいことは、誰の差し金か全く分からないことです。例えば、ナチスならゲシュタポという存在があり、何処に本部があり、誰が命令実行者なのか分かります。しかし、旧東ドイツの場合は、それが全く分からないのです。

 名前も無ければ、命令書もない。手続きもない。

 だからバウツェンの監獄には、二人の所長がいます。一人は、名前と所属のある所長。しかし、彼には実権はありません。せいぜい広報担当というところです。本物の所長は、名前も階級も所属もなく、ただ「おじさん」という俗称で呼ばれており、この「おじさん」が悪魔のごとき存在だったのですが、その歴代の「おじさん」は、いったい何処の誰だかさっぱり分からないのです。ドイツ統一後に「おじさん」を犯罪者として追求したくとも、全く痕跡がないために、誰一人として、ナチス幹部のように捕まえることができないのです。

 さて、バウツェンの監獄の特徴ですが、みごとなまでに完璧な作りとなっています。まず内側にしか窓が無く、外界を見ることができません。監獄生活は、荒っぽいというより心理作戦による拷問がメインでした。

 例えば、母から手紙がきた場合、「母が病気になった」という文面を1回だけ見せ、その後、手紙を遮断してしまうのです。また独房もあり、9年間に17人しか人間を見てない囚人もいました。トイレの無い独房もありました。また、寝方も決められており、30分おきに巡回がきて起こされたりしました。囚人にとっては、これが一番辛かったそうです。

 しかし、正直言いまして、ここまで徹底した監獄を作るには金がかかります。日本人の立場から言えば、そんな予算があれば、他に金を回せばと言いたくなるほど、馬鹿馬鹿しく金をかけて人権無視装置を作り上げています。いわば人権無視のプロヘッショナルが、完璧に作り上げた装置であり、ここにもドイツの徹底さを見ることができました。
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