■日本ユースホステル協会史
■1951〜1960
■1961〜1970
■1971〜1980
■1981〜1990
■1991〜2000
☆国際化、情報化、環境問題へ
☆1991年(平成3)
☆1992年(平成4)
☆1993年(平成5)
☆1994年(平成6)
☆1995年(平成7)
☆1996年(平成8)
☆1997年(平成9)
☆1998年(平成10)
☆1999年(平成11)
☆2000年(平成12)
☆2001年(平成13)
|
1998年(平成10)
■アジアの金融不安から来訪者の減少
前年に発生した、東南アジアの金融不安は、たちまち各国に及び、韓国では外国旅行自粛政策まで発生しています。国内もこの影響はまぬがれず、ついに経済成長率は戦後最悪のマイナスに転じました。
唯一明るいニュースは、長野県の冬季オリンピックで日本選手が活躍したことです。1980年代後半から、海外からの来訪者の数は増加を続け、ここ数年間に限ればかなりの量で増加を始めていました。その中心韓国からの来訪者で、定期的に開催されてきた日韓YH会議などが大きな刺激を与えていました。
しかし、アジアの金融危機の発生で各国の通貨が切り下げられ、手持ち外貨は底をつく状態に陥りました。その結果、韓国では「海外旅行自粛」の措置が取られました。このため九州地区のYHでは宿泊者が5%ほど減少しました。
■活発な国際会議の開催
ヨーロッパの好景気が影響したためか、IYHFの事業が活発化しました。特に「マーケッティング戦略」に関わる会議が多く、世界の利用者数は確実に上昇傾向を見せていました。
1月には、IYHFアジア地域会議(タイ・バンコク)が開かれ、新たに決められたYH基準について解説や討議が行われています。4月には、ドイツのベルリンで「IYHFマーケティング・セミナー」が開催され、ソーシャル・ツーリズム的な旅行形態や、会員制度のあり方などについて論議がなされました。一方5月から6月にかけては、「日独青少年指導者セミナー」のために7名のドイツYH協会関係者が来日しました。7月には、日本から文部省委託事業「日独交流FUJIプログラム」として、10名が7週間のドイツ研修に出発しています。日独
の交流事業は以前から続けられているもので、日本のYH運動と国際交流に貢献しました。
8月には、第42回国際YH会議がインドのニューデリーで開催され、59力国、200余名が参加しています。定例の第14回日韓YH代表者会議も、11月にソウルで開催されました。
■文部省の野外活動の事業が活発化
この年に前後して、文部省の野外活動関連事業が一段と活発化してきました。ひとつは、文部大臣認定事業における野外活動指導者の育成であり、もうひとつは子どもに対する、新しい野外旅行活動の提案が動き出したことです。その結果、JYHにおいても多くの事業が実施されました。
■ホステリング・ディレクターの認定
この年10月、文部大臣認定事業「社会体育指導者の知識・技能審査事業」の一分野に野外活動指導者(ホステリング・ディレクター)が加わることになりました。そして平成13年まで、現行の指導者からの移行措置が取られることになります。JYHのYH活動・初級、中級、上級指導者は、所定の移行講習会(講座、レポート課題)を受けて合格すれば、ディレクター2級が取得でき、さらにその上の移行講習会を受けますと、ディレクター1級の資格が取得できる移行措置です。また移行期間以後、移行措置を取らなかった指導者は、新しく制度化されたインストラクターとして登録されることになります。なお、1999年の本事業の省令化等に伴い、現在は文部科学大臣認定「スポーツ指導者の知識・技能審査事業」と改められています。
■ホステリング・インストラクター、ディレクター養成講習会の開催
これは、旧来のYH活動指導者育成講習会に代わるもので、スポーツ振興基金の助成を得て実施されました。その主旨は文部大臣認定事業の一環として「ホステリングを中心とする野外活動の指導者を育成するためのもの」です。
■文部省委託による夏休み自然体験村を開催
「夏休み自然体験村」は、文部省の委託を受けてJYHが実施したものです。プログラ
ムの内容はホステルを基点に2週間という長期間、親元を離れて自然の中で生活するもので、農林漁業体験、スポーツ体験、奉仕体験などの多彩な内容が用意され、YHらしいプログラムになりました。実施場所は、北海道サロマ湖、北海道支笏湖、鳥取県若桜・兵庫県浜坂、香川県小豆島、佐賀県武雄・長崎県松浦の5地域で、YHに連続宿泊しながら子ども達を迎えました。定員が各コースとも20名です。こうしたプログラムは、YHが本来行うべき活動で今後の成果が期待されます。
■『全国YHの旅』発刊
ハンドブックに対応する『全国YHの旅』が実業之日本社からブルーガイドシリーズの中で発刊されました。YHの広報は、過去にガイドブックなどを刊行する出版社はありましたが、直接的に広報刊行物が書店に並んだのは始めてです。この企画は成功し、初年度で4万部近くが売れました。大きかったことは、今まで行き届かなかった一般の人にYHの存在が告知され、新しくYHの利用を始めた人が出現していることです。
■YH利用促進キャンペーンを実施
この年の9月から11月にかけては、利用促進のため「LET’SENJOY YHキャンペーン」事業が実施されました。この期間に宿泊した人に、1泊ごとにシール1枚が提供され、抽選の上で航空券などの記念品が当たるキャンペーンでした。 |