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中富良野 歩゚風里
『風のたより』
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第2章 学校 その4
こうして徐々にプロイセン教育制度は整えられていきました。とは言っても、教育レベルは低いものでした。アルファベットを学び、聖書を題材とした読み方や書き方、四週間に一曲の聖歌を覚えるというものでした。
シルマンの生まれた一八七四年頃になってようやく、ドイツ語に二時間。宗教に一時間。算数に一時間。その他に一時間という形になりましたが、学習レベルは低くとも、キリスト教に基づいた民衆教育は、モラルの高いプロイセン人を作りあげました。教育で最も大切なことは、知識の詰め込みではなく、モラルの大切さを教えることであると、プロイセンの人は考えていました。
「クリスティーネはある意地悪な主人に仕えていました。彼女は神に祈り語りました。『神よ、あなたの御心を乞えるならば、まわりの人々が私に無慈悲に接しませんように彼らの心を御導き下さいませ。けれど、もし、私に今の試練がないのなら、おそらく自堕落になることでしょう。ああ神よ、私がもっと勤勉であるように忍耐力を授けお助け下さい』ある裕福な未亡人がクリスティーネの良き行いに目をとめ、彼女を連れ、良き待遇のもとにおきました」
プロイセン民衆学校の教科書です。日本昔話のような内容ですが、宗教的修行としての勤勉を讃える内容となっています。このような宗教色は、時代が下るにつれて少しずつ薄まっていきましたが、勤勉や義務の実行というエトス(社会集団を支配する倫理的な心的態度)を育てる教育の伝統には、変化はありませんでした。
話を戻しましょう。シルマンの父、アウグスト・シルマンのことです。アウグスト(シルマンの父)が東プロイセンのハイリゲンバイルで民衆学校の先生をしていたことは、すでに述べました。アウグストも、プロイセン国から与えられた畑や菜園で、細々と自給自足の生活をおくりながら、百人の子供たちを一つの教室で教えていました。勤勉に働き、勤勉に子供たちに文字と賛美歌と教義問答を教えました。
シルマンは、そういう家庭環境の中で六人兄弟の長男として生まれました。給料として現物支給された、牛・豚・鶏を飼い、畑仕事をしながら百人以上の子供たちに勉強を教え、日曜日に教会の仕事を手伝っては、わずかばかりの小銭を稼ぎ、時々もらう寄付金で飢えをしのぐという環境の中にいました。
■ユースホステルとは?
ユースホステルとは、ドイツで生まれた旅の宿のネットワークです。だれもが安全に楽しく、そして経済的に旅ができるようにと考えられたもので、現在、世界80カ国、5500のユースホステルがあります。日本には北海道から沖縄まで約300のユースホステルがあり、宿泊料金は日本の場合、1泊3000円から4500円と大変経済的です。日本でのユースホステル会員数は、最も多かった1970年代には60万人以上にものぼったと思われますが、1980年代以降は減少傾向にあり、2005年現在では最盛期の7分の1程度の約8万5000人です。
世界最初のユースホステルもドイツのアルテナにある古城の一角に設けられました。部屋は、男女別の相部屋で、1部屋が4人〜8人ぐらい、2段ベッドの洋室(日本では畳部屋もあり)が基本となっております。海外のユースホステルでは、スウェーデンの帆船ユースホステル、ドイツの古城ユースホステル、カナダの元刑務所ユースホステル,ニュージーランドの広大な芝生の庭に囲まれた邸宅ユースホステルなどいろいろ。料金は安くても、食事やサービスは十分満足できるもので、経済的で、泊まり合わせた人同士が気軽にふれあえる旅の宿です。
ユースホステルを利用するには、会員証を入手すると便利です。宿泊費が600円ほど安くなります。各都道府県にあるユースホステル協会または最寄りのユースホステル案内所、全国のユースホステルにて、簡単な手続きで会員証が取得できます。この会員証は世界共通で、日本で取得すればどこ国のユースホステルでも有効です。また、会員証によって国内・海外の観光施設等の割引を受けられるなどの特典もあります。
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