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第1章 プロイセン王国 その4
ユダヤ人の妻をもち、それがゆえに一九四〇年にドイツからイギリスに亡命したドイツ史研究家であるセバスチャン・ハフナーによれば、十八世紀のプロイセンには、宗教・民族・社会と、三つの無頓着があったと言います。
まず宗教に対する無頓着。カトリックであれ、プロテスタントであれ、ユダヤ教であれ、イスラム教であれ、国家に対してそれぞれの義務さえきちんと果たすならば、全て平等に扱ったのがプロイセン国家の美徳でしたが、それは当時の人々には理解しがたいことでした。当時のヨーロッパでは、他の宗教を認めるという習慣は、どうしても人々に理解されませんでした。しかし、プロイセン政府は、それを臣民に押しつけました。
次に民族に対する無頓着。プロイセンでは、臣民(国民)はドイツ人である必要はなく、フランス、ポーランド、オランダ、スコットランド、オーストリアといった国々からの移住者たちは、差別されることなく迎え入れられました。また、占領地の人間たちも生まれながらのプロイセン人と同じように大切に扱われました。
最後に社会に対する無頓着。プロイセンでは浮浪者から貴族に対してまでも平等な法の適用を行いました。市民生活に失敗した人間はいつでも軍隊に入ることができましたが、彼らを宗教的な同胞愛で保護するということはありませんでした。個人の幸せは個人で築く。そんな突きはなした態度がプロイセンという国の特色でした。なぜならば、その宗教的な同胞愛を国策にすることによって、他の宗教を弾圧しかねなかったからです。
プロイセン国では、個人の宗教に干渉しない。特定の民族を優遇もしない。個人の幸せにも干渉しない。つまり、宗教に、民族に。社会に無頓着。これらの無頓着からくる冷めた自由は、国民を少なからず快適にしました。
例えば獣姦は、十八世紀のヨーロッパでは恐るべき犯罪行為と見なされ極刑をもって罰せられていましたが、プロイセンのフリードリヒ大王は獣姦した騎兵隊兵士を罰することなく、逆に「歩兵隊には豚を与えてやれ」と言いました。
人々は、そんなフリードリヒ大王を「啓蒙君主」と言い、プロイセンを「理性が支配する国家」と絶賛しました。法治国家の基本とも言うべき民法の編纂も、フランスより十年はやく完成していました。ポーランド人貴族たちは、何世代にもわたってプロイセンに忠誠を尽くし、プロイセンのために戦い、プロイセン政府の要職についていました。プロイセン政府は、宗教・人種・文化(社会)を愛する国家ではなく、各人の才能を愛しました。
■ユースホステルとは?
ユースホステルとは、ドイツで生まれた旅の宿のネットワークです。だれもが安全に楽しく、そして経済的に旅ができるようにと考えられたもので、現在、世界80カ国、5500のユースホステルがあります。日本には北海道から沖縄まで約300のユースホステルがあり、宿泊料金は日本の場合、1泊3000円から4500円と大変経済的です。日本でのユースホステル会員数は、最も多かった1970年代には60万人以上にものぼったと思われますが、1980年代以降は減少傾向にあり、2005年現在では最盛期の7分の1程度の約8万5000人です。
世界最初のユースホステルもドイツのアルテナにある古城の一角に設けられました。部屋は、男女別の相部屋で、1部屋が4人〜8人ぐらい、2段ベッドの洋室(日本では畳部屋もあり)が基本となっております。海外のユースホステルでは、スウェーデンの帆船ユースホステル、ドイツの古城ユースホステル、カナダの元刑務所ユースホステル,ニュージーランドの広大な芝生の庭に囲まれた邸宅ユースホステルなどいろいろ。料金は安くても、食事やサービスは十分満足できるもので、経済的で、泊まり合わせた人同士が気軽にふれあえる旅の宿です。
ユースホステルを利用するには、会員証を入手すると便利です。宿泊費が600円ほど安くなります。各都道府県にあるユースホステル協会または最寄りのユースホステル案内所、全国のユースホステルにて、簡単な手続きで会員証が取得できます。この会員証は世界共通で、日本で取得すればどこ国のユースホステルでも有効です。また、会員証によって国内・海外の観光施設等の割引を受けられるなどの特典もあります。
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