ドイツユースホステルの現状2

■日独交流セミナーに参加して

 第1章 序論
 第2章 本論
   第1節 交流のコツ
   第2節 ドイツの現状
   第3節 ドイツYHの現状
     ドイツYHの現状1
     ドイツYHの現状2
     ドイツYHの現状3
     ドイツYHの現状4
     ドイツYHの現状5

   第4節 セミナーについて

 第3章 結論

日本のユースホステル運動

 これに対して昭和二十六年に日本で花開いた日本のユースホステル運動は、ドイツのようなかたちをとらず、民営の旅館などと契約するシステムからスタートしたために、ワンデルンシューレ(移動教室)というより、ソーシャルツーリズム(旅行の機会に恵まれない人々に対して旅行しやすくするための条件整備)という形から発展していきました。

 具体的に言えば、1957年、観光事業審議会の中に設置されたソーシャルツーリズム研究部会の提言が行われ、この提言をもとに国民宿舎、国立青年の家、公営ユースホステルが整備されるようになったのです。ですから日本におけるユースホステルは、「簡素な安宿」というイメージがついてまわります。

 しかし、リヒャルト・シルマンが掲げた本家ドイツのユースホステル運動は、ワンデルンシューレ(移動教室)が第一であり、簡素で安価な宿という設定は、ワンデルンシューレ(移動教室)の目的を達成する一つの手段でした。ドイツにおけるユースホステル運動は、教育活動と切っても切り離せないものだったのです。

(注・日本の場合、公営ユースホステルはソーシャルツーリズムの提言によって生まれたが、日本ユースホステル協会は旧文部省の野外教育活動の推進として生まれている。従って直営ユースホステルはワンデルンシューレ(移動教室)の流れをくんでいると言えなくもない。但し、日本におけるワンデルンシューレ(移動教室)の流れは残念ながら青少年センターなどの別組織にとって代わられてしまった)

 しかし、このドイツにおけるユースホステル運動の流れは世界の趨勢からみたら例外中の例外であることが分かります。世界のユースホステル運動の大半が、ユースホステル運動をソーシャルツーリズムと捉えてしまっています。そして、ソーシャルツーリズムとして捉えた諸国のユースホステル運動は、一時的に爆発的に会員数をのばし、経済成長が達成されるとアッという間に会員数を激減させていきました。それは、何処の諸国でも全く同じような統計数字となって現れてきています。

 ところが、ドイツだけが例外となっています。ユースホステル運動をソーシャルツーリズムとしてではなく、ワンデルンシューレ(移動教室)の手段として使ってきたドイツでは、会員数は減っていません。ユースホステルの施設も健在であり、まばゆいくらいに素晴らしい施設が多く存在しています。稼働率も、日本のどのユースホステルよりも高く、高い利益率をあげています。

 もちろんドイツのユースホステルは、決して安宿ではありません。それゆえに、ソーシャルツーリズムに走った世界中のユースホステル運動が沈滞し、そして消滅しつつある現状に於いて、ただドイツ一ヶ国のみユースホステルの会員数を減らしていません。
このサイトに関するお問い合わせは、北軽井沢ブルーベリーYGHの佐藤まで御連絡ください。

トップへ戻るリンクサイトマップユースホステル利用法ユースホステル研究室ユースホステルヘルパー募集