ドイツユースホステルの現状1

■日独交流セミナーに参加して

 第1章 序論
 第2章 本論
   第1節 交流のコツ
   第2節 ドイツの現状
   第3節 ドイツYHの現状
     ドイツYHの現状1
     ドイツYHの現状2
     ドイツYHの現状3
     ドイツYHの現状4
     ドイツYHの現状5

   第4節 セミナーについて

 第3章 結論

リヒャルト・シルマンから生まれたユースホステル運動

 2005年度の日独青少年指導者交流事業の報告書によってドイツのユースホステル会員は、190万人であることは、すでに知っていました。同年の日本におけるユースホステル会員が、八万五千人であることを考えると、その差には愕然とするものがありますが、これはドイツのユースホステル運動がリヒャルト・シルマンという一人の教師から生まれたことに遠因があると思われます。リヒャルト・シルマンは言いました。

「金や金の製品よりも高価なもの、精巧を極めた機械よりもさらに価値あるものは何であろう? それは人間である! これが真実であることを悟って、国も市町村も、毎年、数百万という経費を使ってあらゆる種類の学校を建て、これを維持している。それは体育館から水泳プール、運動場までも含んでいるのである。これは、時には収穫がないかも知れない。しかし、全て明日に望みをかけた種まきなのである。この中で、真実なことは、民族の健度と力の保証は、ただ一つ、次の世代にあるということである。青少年の育成こそ、民族の明日を形成する!」

 リヒャルト・シルマンは、偉大なるドイツ民族の過去(歴史や遺産)ではなく、民族の明日にかけました。青少年の教育のために移動教室(簡素な宿泊施設)の必要性を訴えたのです。第一次大戦前のことです。しかもシルマンは、理想を語るのではなく、きわめて実現可能な現実を語りました。

「至るところの町や村で、小学校のないところは殆どありません。休暇中の教室は、徒歩旅行を楽しむ児童のための宿舎、食堂にお誂えむきではありませんか。二クラスもあれば充分です。一つは少年に、他は少女のために。椅子は隅に積み重ねれば、十五人分のベッドのスペースは容易にできます」

 学校に図書館や体育館が必要なら、仮眠施設があっても良いではないか。しかも仮眠施設は、今ある教室の再利用で充分。しかも、来た時よりも美しくして出て行ってもらう。そうすれば学校も泊めれば泊めるだけ美しくなる。
そのようにシルマンは訴えたのです。

 これは画期的なアイデアでした。

 シルマンの考えたワンデルンシューレ(移動教室)から、ドイツのユースホステルは、百ベッド以上の巨大なものばかりとなっています。日本で言えば、青年の家のようなものです。ですからドイツの文部科学省(ドイツの場合は国ではなく州が担当する)管轄下の財団法人が大半ユースホステルを直営しており、学校利用を対象とした大型ユースホステルばかりが存在しています。
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