■日独交流セミナーに参加して
第1章 序論
第2章 本論
第1節 交流のコツ
第2節 ドイツの現状
ドイツの現状1(ネオナチ)
ドイツの現状2(職人国家)
ドイツの現状3(日本の問題)
第3節 ドイツYHの現状
第4節 セミナーについて
第3章 結論
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ネオナチ
まずドイツの現状について語りたいと思います。私は、1990年に数ヶ月、バックパックでドイツ旅行をした経験があります。ですから今回の青少年指導者交流事業で、16年ぶりにドイツを再訪したわけですが、あまりのドイツの変貌ぶりに驚きを隠せませんでした。
まず、落書き。
どの町に行っても落書きだらけで醜悪さが目立ちました。落書きの無いビルや建物は無いといっても良いのです。16年前にドイツに訪れた時は、景観を大切にするドイツ人の性癖に感心したものですが、それだけに落書きで街をズタズタにしてしまっている現実を目にしてしまうと、いったいドイツに何が起きたのか?と愕然としてしまいます。
あとスキンヘッドの若者たち。16年前には、そんな若者たちを見たことが無かった私でしたが、今回はやたらと目についてしまい、通訳のヨーコさんに、いったいどうなっているの?と聞きますと「言いにくいのだけれど、ネオナチです」と答えてくれました。
「ネオナチねえ・・・・」
ネオナチと聞くと、人種差別者とか、民族主義者というイメージを持ちます。私もそうでした。しかし、ヨーコさんの話を聞いても、私のドイツでの体験や見聞からしても、そんな単純な問題でもなさそうでした。これはドイツの青少年問題に深く根ざした社会問題でした。ですから日独青少年指導者交流セミナーについても、ネオナチの問題を避けて通ることはできないというのが、私の感想です。
ネオナチは、良くも悪くもドイツ社会の縮図です。理由は単純明快です。ドイツ社会がプロヘッショナルな、職人的な構造によって成立しているからです。ドイツに到着早々に私たちが目にした光景は、職業訓練校でした。というのも、私たちが最初に泊まったビーネフェルトYHの回りには、数多くの職業訓練校が存在していたからです。しかし、職業訓練校と言っても日本の学校をイメージできません。どちらかというと丁稚制度の工場や店という感じです。そこに15歳〜17歳くらいの少年少女たちが修行しているという感じです。
つまりドイツ人たちの多くは、幼少の頃から職人としてプロヘッショナルな形に育てられ英才教育をされています。当然のことながら一人前になるとプロヘッショナルな存在として高い給料と高度な社会保障に守られることになります。
ですから日本のような学歴社会は無く、どんな職業についても、それなりに豊かに暮らしていけますから大学進学率も高くありません。むしろ政府の意図に反して、進学率が一向に上がらないままになっています。つまり職人国家のような面があるわけです。少なくとも私どもの泊まったビーネフェルトYHの周辺は、そういう雰囲気がプンプンしていました。
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