なぜ会員は激減したのか?

■日本ユースホステル協会史
■1951〜1960
■1961〜1970
■1971〜1980
  ☆日本ユースホステル協会史
  ☆横山祐吉氏の退任
  ☆山岡荘八と上田常陸の死
  ☆伊賀省三・藤井務理事長
  ☆なぜ会員は激減したのか?
■1981〜1990
■1991〜2000

なぜ会員は激減したのか?

 昭和26年のユースホステル運動発足当初からこの運動の推進者は「健全で質実なホステルを青少年に提供し、一人でも多くの若者が未知の旅に出かけ、世界人としての人格形成のため有意義な一時期を過ごしてもらいたい」と周囲の関係者に熱っぽく説きました。すなわち、日本のユースホステル活動を青少年健全育成という運動面と、低廉・安全な宿舎提供という機能面の両面から推進していました。
 会員が1万名に満たず、ホステル数も100に満たなかった時期までは「ユースホステルは、いい運動ですから」という運動精神論が強かった。それが、会員も10万名を越え、ホステル数も300ヶ所を上回る昭和36年ごろの発展・急伸の時代に入りますと、会員の入会動機も「ホステルが全国にあって安く旅行できますから」とユースホステルの棟能面の評価が強まりました。

 つまり、ある時期を境にして日本のユースホステル運動は、運動精神面を重視したミニ海員時代から、宿泊棟能面を評価したマス会員時代に移り変わったわけです。倍々の勢いで会員が増えていった当時、大多数の会員の入会動機は「ユースホステル運動の主旨に賛成して」ということよりも「ユースホステル協会が組織し管理する宿泊機能システムが便利ですから」ということでした。

 昭和20年代後半から昭和30年代の前半にかけては、日本全国の観光地にある既存の旅館・ホテルの宿泊料金は高価で、青少年が旅行に使えるような宿泊施設ではありませんでした。一部の山小屋や鉱泉宿が宿泊料金的には低廉でしたが、立地条件で限定されて、普通の旅行に使用するには大きな制約がありました。このような環境のところに、格安な費用で健全、しかも実質的なユースホステル宿泊網が旅行地に出現し、年々全国的に整備充実していきましたので、当時の青年男女に双手を上げて歓迎されたわけです。

 すなわち昭和30年代の日本のユースホステル会員数の爆発的な伸びと、ユースホステル運動の拡大エネルギーは、当時の社会からユースホステルの運動を評価されたというより、宿泊機能面が利用者、すなわち青少年男女の多数から絶大な共感を得られたからでしょう。このことは協会側の意図に反し利用者側のニーズは、宿泊機能面を重要視するようになったといえましょう。

 昭和40年代のなかばになり、会員数、ホステル数がピークに近づきますと、あまりのブーム状況の中でユースホステルの機能面も動脈硬化に陥った感を呈してきました。もちろん、こういうマス状況の中では、ユースホステル発足当初の運動精神論もいささか影がうすくなってきます。また、中には運動精神論を強調するホステルに対し、反発を感ずる会員も出て来ました。そして昭和48年からはじまる会員減少の時代がやってきたわけです。

 結論づけていえば、ユースホステル会員の漸減現象の最大原因はつぎのように考えられます。

 一つは、昭和40年代のレジャーブーム時代に誕生した各種エコノミー宿泊施設群の出現です。昭和20年代後半から30年代へかけて、ユースホステルの何となくカツコよく、新鮮な宿泊棟能をもった施設として独走した時代は終わりました。国民宿舎、国民休暇村、民宿、ペンションその他各種公共宿泊施設や、研修施設として国・公立青年の家、少年自然の家など強力なライバルたちは、その後も現在まで引き続きその施設を充実してきています。

 一つは、日本のユースホステル運動は、昭和26年に発足して以来、主として青年男女を対象として発展して来ました。しかし、ユースホステル運動発祥のドイツでは、子どもたちを受け入れる施設として発展してきました。したがって、ホステルの管理方法や利用規則も、当初からドイツでは子どもたちを対象としたものであったものを、日本ではそのまま大人にあてはめました。しかし、日本ではユースホステル を利用するほとんどが、成人になった青年男女が圧倒的に多いのです。このあたりの食い違いが、施設の選択権が利用者側に移った昨今、ホステルと利用者のあいだに大きく広がってきたのかもしれません。

 一つは、宿泊する人の嗜好の変化です。
「ユースホステル は規則がやかましすぎる」
「ミーティングが強制的でいやだ」
「施設が(他施設に比べて)汚い」
「料金は安いけど食事がまずい」
などの面が誇張されて、ユースホステルの良さが割引かれてしまっていることです。
もっと詳しいことを知りたい方は、日本ユースホステル協会(http://www.jyh.or.jp/index2fr.html)へ御連絡ください。

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