ホスピタリティーあふれる宿

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ホスピタリティーあふれる宿

「ホスピタリティ」という言葉はギリシア語のフィロクセノス(=外来者への愛)の対応語で、hospitalとhotelの同義語です。そして、語源はホスピス (hospice) から派生してきた言葉で、hospiceという言葉の語源はラテン語のhospesから来ています。

 ホスピタリティの語源であるラテン語の「ホスピス (hospice) 」は、中世ヨーロッパで十字軍の兵士や旅人のために教会が作った施設のことでした。そうした旅人が、病や健康上の不調で旅立つことが出来なければ、そのままそこに置いて、ケアや看病をしたことから、看護収容施設全般をホスピスと呼ぶようになりました。

 教会で看護にあたる聖職者の無私の献身と歓待をホスピタリティ (hospitality) と呼び、そこから今日の病院を指すホスピタル (hospital) の語がでたと言われています。歴史的には、ホスピタルもホスピス同様に、病院だけでなく、孤児院、老人ホーム、行き倒れの収容施設なども指しています。

 さて、このホスピタリティ (hospitality) ですが、平たく言えば、もてなしのことであり、奴隷を意味するサービスとは全く違っています。あくまでも、客と主人は対等であり、たまたまベット代を払うことはあっても、奴隷になることではありません。つまり、ホスピタリティーを発揮するにはお互いに対等である必用があります。ここにホスピタリティーを理解する鍵があります。

ここで、ユースホステルの意味を考えてみましょう。

 ユース(Youth)は青年を意味します。
 ホステル(Hostel)は、ホスピタリティー(Hospitalty)とホテル(Hotel)
 との造語からできています。

 日本ユースホステル協会創設者の一人であり、第4代会長(昭和40年〜44年)の中山正男氏は、このように言っています。

「ホステルとはホスピタリティ―(もてなしの心)のことである。すなわちホスピタリテ ィ−がホステルの精神である。この厚遇精神を、日本人の 美徳である親切心と解釈し、日本のユ−ス・ホステル運動を親切心運動たらしめよ う」

「親切をされれば当然感謝と言う気持が湧いてくる。 感謝が報恩の念となり、そこに美しい人間愛の花が咲くことになる。 ユ−スホステル運動のすすむところ、親切と感謝が高らかかに歌われるのである」


 つまり、ユースホステルの本質は、ホスピタリティーにあるということです・決してサービスにあるわけではありません。しかし、どんなにホスピタリティーが優れていても、サービスまで劣悪であったら御客様はきません。ホスピタリティーとサービスは、両輪のようなものです。どちらが欠けても、御客様は満足されません。サービスをおろそかにし、設備投資をおこなわなかったり、たいした料理を出さなかったら、どんなに優れたホスピタリティーをもっていても、御客様は遠のくものです。

 逆にどんなに設備がよくても、いたれりつくせりのサービスを行っても、ホスピタリティーに欠けるところがあっては、御客様は空虚な気分になるでしょう。ホスピタリティーの無い宿は、蝉の抜け殻のようなもので、少しも落ち着かないし、わくわくもしないでしょう。

 さいわいのことにユースホステルは、ホスピタリティーだけは、どの宿よりも優れています。これを奇貨として、施設の更新や、いろいろなサービスを怠らなければ、どの宿よりも素晴らしい宿になっていくでしょう。さいわいのことに日本ユースホステル協会では、全国のユースホステルに施設改善命令を出しており、続々と新しいユースホステルが増えつつあります。北軽井沢ブルーベリーYGHのように、YGH(ユースゲストハウス)といったハイグレード施設も増えつつあります。ホスピタリティー重視でありながら、施設もサービスも良いところが増えつつあります。
もっと詳しいことを知りたい方は、お近くのユースホステル&都道府県支部協会か、
日本ユースホステル協会(http://www.jyh.or.jp/index2fr.html)へ御連絡ください。

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